はじめに
こんにちは、Burdonです。最近、トランプ氏の発言をきっかけに、再び関税の話題が熱を帯びていますね。ニュースでは自動車業界が取り上げられがちですが、私が注目しているのはIT・ガジェット業界です。スマートフォンやパソコン、ガジェット製品全般に関わる製造・流通構造に、関税の影響がどう波及していくのか。今回はその視点で整理してみたいと思います。
IT製品のほとんどは輸入依存
アメリカ国内でスマートフォンやパソコンを製造している企業はごくわずかです。設計や企画段階はアメリカ企業で行われても、実際の生産現場は台湾や中国などアジア圏に委託されているのが実情です。
チップや液晶といった主要パーツも、ほぼすべてが国外調達。実際に、Intelなどの半導体メーカーですら製造をTSMC(台湾)などに頼っている状況です。
「国内製造」は幻想に近い
トランプ氏の打ち出す「国内回帰」にはロマンがありますが、実現性の面ではかなり疑問が残ります。仮に国内での組み立てを目指すとしても、部品の大半は輸入品。つまり、関税が課されることに変わりはないのです。
さらに、アメリカ国内で新たに工場を建設し、製造ラインを稼働させるには、膨大な初期投資とノウハウが必要になります。現在のような高度な自動化技術は、むしろ中国や台湾の方が進んでいるという現実もあります。
関税が引き起こす価格上昇と購買意欲の低下
関税が本格的に導入されれば、ガジェット製品の価格は確実に上昇します。仮に20万円のノートパソコンが25%の関税対象になれば、25万円に。企業や個人が日常的に使うPC・スマホの価格が跳ね上がることは、生産性や買い替えサイクルに確実な影響を与えます。
つまり、新技術導入が鈍化するリスクが生まれ、アメリカ全体の技術革新が停滞する可能性もあるのです。
関税で生まれる歪な再分配システム
今回の関税構想の中には、「関税による収益で低所得者の税を軽減する」といった案も含まれています。しかし、製品価格が上がってしまえば、結局その層も高い買い物をせざるを得ず、本質的なメリットにはなりにくいように感じます。
このような状況では、ますます消費マインドが冷え込み、IT製品に対する需要も萎縮していくのではないでしょうか。
研究開発へのしわ寄せ
関税で製品価格が上がるだけでなく、研究開発の現場にも影響が及びます。たとえば自動運転やAIといった分野では、高性能なガジェットやコンピューターが不可欠です。開発段階での部品価格が高騰すれば、資金の多くが物理的なハードへ流れ、本来注力すべきソフト開発に使える予算が削減されるというジレンマが起きます。
製造ノウハウを失った日本とアメリカ
かつて日本も製造大国としての地位を誇っていましたが、コストや人件費の観点から多くの工場が海外へと移転しました。アメリカも同様です。今さら国内回帰を目指すにしても、失われたノウハウやサプライチェーンの再構築は容易ではありません。
そんな中、私は国内に残る少数の製造企業や技術拠点を、いかに守り育てていくかが鍵になると思っています。
まとめ
- IT製品のほとんどは輸入部品に依存しており、関税の影響は避けられない
- 「国内製造」はコスト・ノウハウ面で現実的ではない
- 価格上昇は消費・研究開発・イノベーションを鈍化させる恐れがある
- 再分配の構図に疑問。本質的なメリットが感じづらい
- 国内に残る製造力やノウハウをどう活かすかが今後の鍵
おわりに
IT・ガジェットという視点から改めて考えてみると、関税政策の影響はかなり根深く、単なる政治的なアピールだけでは片付けられない複雑な問題だと痛感しました。アメリカも日本も、ものづくりの基盤を見つめ直す時期に来ているのかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回も鋭く、現場目線で考えていきます。
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