はじめに
こんにちは、Burdonです。米中の経済摩擦は、今に始まった話ではありませんが、最近の追加関税の発表と中国の報復措置により、緊張は一段と高まっています。特に今回は、LNG(液化天然ガス)やレアアースのような資源戦略にまで波及している点が印象的です。
今回のテーマは、米中貿易戦争の“次なる局面”とも言える資源を巡る攻防。アメリカが打った関税という一手に対し、中国がどのようなカードで応戦しているのか、掘り下げて整理してみたいと思います。
米国の追加関税と株式市場の反応
トランプ政権の再登場を見越してか、米国は中国製品に対し34%の追加関税を発動。これは第一次政権時の関税と比較しても約20倍に及ぶ強烈な圧力です。
この動きに対し、アメリカの株式市場は敏感に反応。下落傾向が見られ、トランプ氏自身は「これは必要な痛み」とも語っています。中国側はこうした動きを静かに注視しており、「慎重姿勢」を維持しながらも報復措置を模索しているようです。
報復関税の本丸──エネルギーとレアアース
中国がまず手を付けたのはLNGガスへの15%の関税。ここ数ヶ月間、中国はアメリカからのLNGを一切輸入しておらず、5年で最長の停止期間に入っています。
さらに注目すべきはレアアースとレアメタルの輸出規制です。中国はこれまで世界のレアアース供給の約70%を占めており、その供給停止はアメリカにとって致命的。まさに地政学的カードとして使われ始めました。
ちなみに、レアメタルはニッケルやコバルトのような希少金属で、航空機やバッテリーなどに必須。一方、レアアースは磁石や光学機器に使用される元素で、17種類のうち7種類が新たに規制対象に加えられました。
中国の裏交渉と交渉材料の変化
中国は報復に出る前に、実は複数の裏交渉を試みていたようです。トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナーとの接触や、イーロン・マスクを通じたチャネル確保も試みましたが、成果は乏しかったとのこと。
交渉材料としてパナマ運河の利権を期待していた中国ですが、CKハソンという香港の企業がアメリカ寄りの立場を取ったため、これも失敗に終わりました。
他に候補として上がっているのが、TikTokの親会社であるバイトダンス。しかし、これも現在保留状態。代わって現れたのが、先述のLNGとレアアースという資源カードです。
アメリカの対抗措置──国内鉱物戦略と国防生産法
アメリカも手をこまねいているわけではありません。国防生産法(DPA)を活用し、国内での鉱物資源の確保と加工を促進するための法整備を進めています。
特にトランプ氏は、ニッケルやコバルトよりもレアアースの国内調達に注力しており、今後ウクライナや他国とのサプライチェーンの再構築を急ぐと見られています。
この点からも、資源は単なるモノの問題ではなく、「交渉の武器」として今後ますます重要になることが分かります。
まとめ
- 米国は中国製品に対し34%の追加関税を発動、過去最高水準へ
- 中国は報復措置としてLNGの輸入停止と15%の関税、さらにレアアース規制へ
- レアアースとレアメタルはアメリカの技術・防衛産業にとって生命線
- 中国の交渉材料(パナマ運河、TikTok)は効果薄で資源戦略にシフト
- アメリカは国防生産法で国内資源の確保を進め、今後も貿易戦争が長期化する可能性
資源やインフレ相場に対応できる戦略的ポートフォリオを構築したい方にはこちらも検討の価値あり👇
もっと安定志向で少額から始めたい方はこちらもおすすめです👇
おわりに
今回の動向から感じるのは、関税や数字だけでなく、資源戦略が交渉の主戦場になっているということです。個人的には、経済と外交がより一体化した新時代が始まった感覚を受けました。
中国もアメリカも互いにカードを切り合う展開は続きそうですが、それぞれの“打ち手”に注目することで、今後の世界経済の動きを予測するヒントにもなります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。







コメントを残す