📌 目次
はじめに
こんにちは、Burdonです。
今回は年金の繰上げ受給と繰下げ受給、どちらが本当に得かについて解説します。損益分岐点の実例や、繰上げして運用した場合のシミュレーション結果まで踏み込み、老後の最適な受け取り戦略を明確にしていきます。
日本の年金制度の仕組み
日本の公的年金は2階建て構造になっています。1階部分が国民年金(基礎年金)、2階部分が厚生年金です。さらに、企業型や個人型の確定拠出年金(いわゆるiDeCo)を含めた「3階部分」も存在します。
令和7年度の試算によると、国民年金を満額納めた場合の支給額は月額約6万9,000円、夫婦2人で基礎+厚生年金を受け取る場合の平均は月額約23万円とされています。
この年金は原則65歳から受け取りますが、60歳〜75歳の間で受給開始時期を自由に選択することが可能です。
繰上げ受給と繰下げ受給の違い
年金受給の選択肢には「繰上げ受給」と「繰下げ受給」があります。それぞれの特徴を理解することが、将来の安心につながります。
繰上げ受給の特徴と損益分岐点
繰上げ受給は65歳より早く年金を受け取る方法です。その代わり、受け取る金額は1か月あたり0.4%ずつ減額されます。たとえば60歳から受給を開始すれば24%減額されます。
繰上げの損益分岐点は、60歳開始で80歳8か月。つまり、それ以前に亡くなれば繰上げが有利、長生きするほど損になる仕組みです。
繰下げ受給の特徴と損益分岐点
繰下げ受給は65歳より遅く受け取る方法で、1か月あたり0.7%ずつ増額されます。70歳開始なら42%増です。
損益分岐点は70歳開始で81歳10か月。つまり、82歳以上生きれば繰下げが有利になります。長生き前提なら強力な選択肢です。
シミュレーション結果:繰上げ運用の実力
松者氏のシミュレーションでは、60歳から繰上げて受け取った年金を投資運用に回すと、70歳からの繰下げ受給を上回る結果になるケースが多いと示されています。
例えば、60歳から毎月13万円を年利5%で運用した場合、70歳時点での資産は約2,023万円に。これを80〜100歳まで取り崩すと、最終的な資産は8,000万円〜1億円近くに膨らむ可能性もあるのです。
一方で、繰下げの場合は受け取り開始が遅いため、70歳時点でまだ年金を一切受け取れていないというリスクがあります。この差が老後の安心感を大きく左右します。
繰上げ受給の注意点
繰上げには多くのメリットがありますが、以下の5つの注意点を知らずに選択すると後悔につながる可能性があります。
- 変更・撤回ができない:一度繰上げすると一生減額されたままになります。
- 障害年金が受け取れなくなる:繰上げをすると障害年金の権利が消滅します。
- 任意加入ができない:60歳以降に国民年金を追加で払うことができなくなります。
- 税金・社会保険料負担が増える:60歳以降に働きながら受給すると、税負担が重くなります。
- iDeCoが利用不可になる:年金受給者とみなされるため、iDeCoの積み立てができなくなります。
まとめ
- 繰上げは早く受け取れるが減額、繰下げは遅く受け取るほど増額
- 運用次第では繰上げのほうが圧倒的に有利になる
- 繰上げは一度選ぶと変更不可、慎重な判断が必要
- 健康・収入・資産状況に応じて最適な受給時期を選ぶことが重要
- 「早めに受け取り+運用」は老後の選択肢として有力
おわりに
今回解説したように、年金の繰上げと繰下げにはそれぞれのメリットとリスクがあります。私は「長生き前提」ではなく「柔軟に資産を活用する前提」で考えることが大切だと感じています。
年金は単なる支給制度ではなく、人生設計の一部です。どの選択をするにしても、自分のライフプランに合った判断をしていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。







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