📌 目次
はじめに
こんにちは、Burdonです。
今回は建設コストの高騰によって住宅が建たない現象について解説します。最近「建設予定地」の看板だけが立っていて、実際の工事が進まない空き地を目にした方も多いのではないでしょうか。実はその背後には、建設費用の急上昇と深刻な人手不足という、住宅市場全体を揺るがす問題が隠れています。
建設予定地が増えている理由
私の近所にも「マンション建設予定地」と掲げられた広大な土地がありますが、すでに7年間も工事が始まっていません。建設業界関係者によると、その主な理由は「建設コストが高すぎて採算が合わない」ことにあるとのことです。
CBREの調査によると、建築着工面積はバブル期の140(指数)から現在は40前後まで落ち込み、半減どころか3分の1以下に減少しています。つまり、建てたくても建てられない時代に突入しているのです。
建築費用が倍増した背景
建築費用は20年前と比べてほぼ倍。バブル期の120指数から一時期80に下がったものの、現在は180を超える水準に達しています。
資材輸入コストと円安の影響
最大の要因は円安と輸入資材の価格上昇です。鉄鋼・木材・コンクリートなど主要な建築資材のほとんどが海外に依存しており、円の下落が直撃しています。特に2020年以降の世界的な物流混乱とインフレにより、資材価格は驚異的なスピードで上昇しました。
職人不足と人件費高騰
さらに深刻なのが職人不足です。建設現場では50代以上の熟練者が中心で、若手の参入が極端に少なくなっています。その結果、1日あたりの現場作業賃はすでに2.5〜3万円に上昇し、今後は4〜5万円に達する可能性も指摘されています。
人件費の上昇自体は悪いことではありませんが、現状ではそれを吸収できる構造になっておらず、開発計画の停止が相次いでいるのが実情です。
住宅市場と家賃への影響
建設コストが上がれば、当然ながら新築価格が高騰します。都心のマンションは1億円が当たり前になり、郊外へ移っても7000〜8000万円という時代です。
しかし賃金はそれに追いついていません。結果として「買えない層」が増え、賃貸需要が上昇。今後、これまで抑えられてきた家賃も上昇基調に転じる可能性があります。
また、リフォーム費用も資材と人件費の影響を受けて高騰しており、中古住宅の価値見直しが進む動きも出てきています。
今後の展望と可能性
これからの住宅市場は「新築を建てる」よりも既存住宅を長く使う方向にシフトしていくでしょう。欧米のように100年持つ建物をメンテナンスしながら使う文化が日本にも根づく可能性があります。
同時に、建設業の賃金上昇が進めば、若者が再び現場に戻り、人材不足が緩和される期待もあります。そのためには、AIや自動化技術によって事務職の労働を置き換え、労働力を現場にシフトさせる政策が求められます。
今後、国の住宅政策や家賃制度にも変化が訪れるでしょう。家賃の上昇が避けられない中で、私たち一人ひとりが「どのような暮らしを選び、どう資産を守るか」を考える時期に来ています。
まとめ
- 建設費用は20年前の約2倍に上昇
- 資材高騰と職人不足がダブルパンチで影響
- 建設予定地の放置が全国的に増加中
- 新築価格の上昇と賃貸市場の変化が進行
- 今後は中古住宅の再評価と長寿命化がカギになる
おわりに
建築コストの上昇は、もはや一時的な現象ではなく構造的な問題です。私はこの動きが、日本人の「住まいの価値観」そのものを変える転換点になると感じています。
これからは「家を買う」よりも「資産としてどう持つか」「どう活かすか」が問われる時代。住まいを取り巻く環境を冷静に見極めることが、最も重要な資産戦略になるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。






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