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📌 目次

はじめに

こんにちは、Burdonです。

今回は「年収の壁178万円」問題について解説します。新たに決まった控除額の見直しが、私たちの所得や手取り額にどのような影響を及ぼすのか、そして見落とされがちな“時限措置”の落とし穴についても掘り下げていきます。

年収の壁178万円とは

これまで「年収103万円の壁」「106万円の壁」などが働き方の制限として話題になってきました。今回の税制改正で新たに年収178万円が基準として設定されました。

この数字は単なる引き上げではなく、最低賃金の上昇を反映させた結果です。国民民主党の提案により実現しましたが、全ての層に恩恵があるわけではなく、税体系の複雑化を伴っています。

基礎控除と給与所得控除の仕組み

今回の改正は「基礎控除」と「給与所得控除」という2つの控除を見直す形で実施されました。この合計金額が非課税ライン(178万円)の基礎となります。

基礎控除の改正ポイント

基礎控除は従来の48万円→104万円に大幅引き上げ。これにより、所得税が発生しない範囲が拡大しました。

ただし、このうち42万円分は特例措置です。つまり、本則(恒久部分)は62万円、残りは暫定的な上乗せ。これが後に問題を引き起こす要因となります。

給与所得控除の変更点

給与所得控除も65万円→74万円に引き上げられました。こちらも同様に、5万円分が特例措置です。

合計で178万円の非課税枠が成立しましたが、特例を含めた構造である点に注意が必要です。つまり、恒久的な制度改正ではないのです。

誰が恩恵を受けるのか

今回の改正によって年収665万円以下の給与所得者の約8割(約4200万人)が減税対象となります。

一方で、これを超える所得層は対象外。いわゆる「崖」と呼ばれる所得段差が発生しており、665万円を超えると基礎控除が一気に縮小する仕組みが残っています。

つまり、ある程度稼ぐ人にとっては「働き損」となるケースもあり、出世や昇給のインセンティブを下げる恐れがあるのです。

特例措置と今後の懸念点

今回の改正は2年間の時限措置です。2026年・2027年までは現行のまま維持されますが、それ以降は再検討対象になります。

また、改正内容には「物価上昇率を反映しつつ本則を引き上げ、特例部分を減らす」と明記されています。つまり、178万円という非課税ライン自体は維持され続ける可能性が高いのです。

一見安定的に見えますが、実際は「増税なき見かけ上の据え置き」とも言えます。2年ごとに見直す仕組みで、実質的に手取りが増えないままインフレが進行する恐れがあります。

社会保険・働き方への影響

今回の見直しは所得税・住民税の軽減が目的であり、社会保険料の壁(106万円・130万円)には直接関係しません。

そのため「働き方の壁」は依然として残ります。特にパート・扶養内労働者にとっては、税負担よりも社会保険料負担の方が重いのが実情です。

また、所得再分配の観点から見れば、高所得層への社会保険料引き上げが避けられない方向にあり、今後は年金制度改革とセットで議論が進む見込みです。

まとめ

  • 年収の壁は178万円に引き上げ
  • 基礎控除と給与所得控除の拡大で手取りが増える
  • 8割の給与所得者が減税対象に
  • ただし特例措置であり恒久化されていない
  • 社会保険の壁は依然として残り、「働き方改革」は未完

おわりに

今回の改正は手取り増を狙った前向きな一歩ではありますが、裏を返せば“一時的な処置でしかない”という現実があります。

私自身、178万円という数字を見て「ようやく動いた」と感じる一方、根本的な所得構造や社会保険制度の歪みはまだ放置されていると強く思いました。制度に頼るだけでなく、自分の生活設計を主体的に見直すことが求められます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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