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「新NISAの平均は月8.6万円」という数字だけを見て焦る必要はありません。重要なのは、数字の定義を理解し、自分の家計に合う金額で続けることです。

こんにちは、Burdonです。

今回は、公式に公表された最新データを基に、新NISAの利用実態と、資産形成を続ける上で注意したい4つのリスクについて解説します。

本記事では、口座数と買付額の現在地、「平均月8.6万円」と表現される数字の注意点、つみたて投資枠と成長投資枠で選ばれている商品の傾向を整理します。さらに、SNS型投資詐欺、手数料の見落とし、無理な入金による家計悪化、外国資産の為替変動という落とし穴を確認し、初心者でも実行しやすい防衛策へつなげます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の商品や売買行動を推奨するものではありません。投資には元本割れの可能性があり、最終的な判断はご自身の家計状況とリスク許容度に応じて行ってください。

新NISAの現在地:2,821万口座・累計71兆円

金融庁が2026年7月に公表した資料によると、NISA口座数は2025年12月末時点で2,821万口座、累計買付額は71兆円に達しました。政府が掲げた2027年12月末までの目標は3,400万口座、買付額56兆円であり、買付額はすでに目標を上回っています。新NISAが家計の資産形成手段として広がっていることは、数字からも確認できます。

項目 2025年12月末 政府目標
NISA口座数 2,821万口座 2027年末までに3,400万口座
累計買付額 71兆円 2027年末までに56兆円

ただし、口座数だけでは実際に毎年買い付けている人数や積立の継続状況までは分かりません。口座を開設した後に購入していない人、片方の投資枠だけを利用する人、必要に応じて売却する人も含まれるためです。「口座を持っている人」と「継続して積み立てている人」を同じものとして扱わず、データの対象と定義を確かめる必要があります。

出典:金融庁「NISAの利用状況」

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大きな数字ほど、分母と対象期間の確認が重要です。口座数、買付額、利用者アンケートは、それぞれ別のデータとして読み分けましょう。

「平均月8.6万円」の数字をどう読むべきか

新NISAについて「平均積立額は月8.6万円」と紹介されることがありますが、この表現には注意が必要です。日本証券業協会の2025年利用者調査では、1年間の平均購入金額は、つみたて投資枠が45万5,000円、成長投資枠が94万2,000円でした。これを単純に12で割ると、それぞれ約3万8,000円、約7万9,000円になります。

投資枠 2025年の平均購入金額 単純に12分の1した金額 年間上限まで購入した割合
つみたて投資枠 45万5,000円 約3万8,000円 16.0%
成長投資枠 94万2,000円 約7万9,000円 16.1%

成長投資枠には一括購入も含まれるため、年間購入額を12で割った数字を、そのまま「毎月の平均積立額」と呼ぶのは正確ではありません。また、以前の調査で示された成長投資枠の平均103万3,000円を12で割ると約8万6,000円になりますが、これは現在の調査値でも、NISA利用者全体の月額積立平均でもありません。平均値は上限まで購入する層の影響を受けるため、他人の数字ではなく、家計の余剰資金を基準に考えることが大切です。

出典:日本証券業協会「新NISA開始後の利用動向に関する調査」

2025年の調査では、つみたて投資枠で購入された商品の中心はインデックス型投資信託でした。購入銘柄のうち、全世界株式に投資するインデックス型が34.2%、米国株式に投資するインデックス型が24.0%、日本を除く全世界株式型が15.6%を占め、インデックス型全体では85.6%に達しています。長期・分散・積立を意識した商品選びが主流になっていると読み取れます。

投資枠 主な利用傾向 確認したい点
つみたて投資枠 低コストのインデックス型投資信託が中心 投資対象、信託報酬、地域や通貨の偏り
成長投資枠 国内外の株式や投資信託を幅広く購入 個別銘柄への集中、配当だけで判断しないこと

一方、成長投資枠では個別株式と投資信託が幅広く利用されています。証券会社10社の2025年買付額では、NISA買付額の67%が成長投資枠で、NISA買付額全体の35%が国内株でした。ただし、配当金や株主優待の魅力だけで商品を選ぶと、特定企業や特定業種に資産が偏る場合があります。つみたて投資枠と成長投資枠は競争関係ではなく、目的、期間、分散状況に応じて使い分ける制度です。

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人気ランキングは入口にすぎません。人気があることと、自分の家計や目的に適していることは別です。中身とコストを必ず確認してください。

資産を減らす4つの注意点(前編)

注意点1:急増するSNS型投資詐欺

警察庁の暫定値によると、2025年のSNS型投資詐欺は9,538件、被害額は1,274.7億円でした。前年と比べ、認知件数は48.7%、被害額は46.3%増えています。著名人を装う広告、突然届くメッセージ、閉鎖的なチャットへの招待、偽の取引画面などを組み合わせ、最初は利益が出ているように見せて追加送金を促す手口が典型です。

「必ず利益が出る」「元本を保証する」「限定情報を教える」といった勧誘を受けた場合は、詐欺を強く疑うべきです。送金前に金融商品取引業者として登録されているかを確認し、相手が提示した連絡先やリンクだけで判断しないことが重要です。少しでも不審に感じたら、家族や公的な相談窓口に確認し、急かされてもその場で送金しないでください。

注意点2:手数料と商品性を確認せずに契約する

対面相談そのものが悪いわけではありません。操作に不安がある人にとって、説明を受けられることには価値があります。ただし、購入時手数料、信託報酬、解約時の費用、商品の選択肢を確認せずに契約すると、長期では大きな差につながります。担当者の親切さと、商品の低コスト性は分けて考える必要があります。

仮定する年間コスト 20年後の概算資産 低コスト側との差
0.1% 約2,032万円 基準
1.5% 約1,734万円 約297万円

※毎月5万円、運用前の年率5%、20年間、税金を考慮せず、年間コストを運用利回りから差し引く単純試算です。実際の運用成果を保証するものではありません。

商品を選ぶ際は、同じ指数や似た投資対象の商品を複数比較し、目論見書や公式資料でコストを確認しましょう。相談サービスを利用する場合も、支払う費用に見合う支援が得られるかを自分で判断する姿勢が必要です。

出典:警察庁「令和7年におけるSNS型投資詐欺の認知・検挙状況等」

資産を減らす4つの注意点(後編)

注意点3:「枠を埋めること」が目的になるNISA貧乏

新NISAは年間最大360万円、生涯の非課税保有限度額は1,800万円です。しかし、非課税枠は目標ではなく、利用できる上限にすぎません。周囲の入金額や「最短で枠を埋める」といった発信に影響され、生活費、税金、住宅修繕費、医療費などに必要な現金まで投資すると、急な出費の際に不利なタイミングで売却することになりかねません。

私は、積立額を決める前に、毎月の収支と近い将来に必要な支出を確認することが先だと考えています。収入が減っても生活を維持できる現金を確保し、その上で余剰資金を投資に回す順番が基本です。積立額を一時的に減らすことや停止することも、長期継続のための合理的な調整です。

注意点4:円高による外国資産の評価額変動

全世界株式型や米国株式型など、為替ヘッジを行わない外国資産の円換算評価額は、株価だけでなく為替レートの影響も受けます。たとえば外国株式の価格が変わらない状態で、1ドル160円から140円へ円高が進んだ場合、単純計算では円換算額が約12.5%下がります。株価が上昇しても、円高によって円換算の利益が小さくなる場合があります。

仮定 円換算への影響
外国資産価格は変わらず、1ドル160円から140円へ 約12.5%の下落要因
外国資産価格が上昇し、同時に円高へ 株価上昇分の一部が相殺される可能性

為替を短期で正確に予測することは困難です。対策は、相場を当てることではなく、生活資金を投資に入れないこと、投資先を一つの国や資産に集中させないこと、下落しても保有を続けられる金額に抑えることです。円高は外国資産の評価額を押し下げる一方、積立を続ける人にとっては同じ円資金で多く買える局面にもなります。ただし、その後の回復が保証されるわけではありません。

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長期投資で最も大切なのは、最大額を入れることではありません。下落時にも生活を壊さず、続けられる仕組みを作ることです。

長く続けるための資産防衛ルール

新NISAを活用する目的は、非課税枠を早く埋めることではなく、将来の選択肢を増やすことです。私は、制度を長く使うために、次の5つを定期的に確認することが重要だと考えています。

  1. 情報源を確認する:公的機関や金融機関の公式資料を優先し、SNSの断定的な勧誘をうのみにしない。
  2. コストを比較する:購入時手数料、信託報酬、解約時の費用を同種の商品間で確認する。
  3. 生活防衛資金を分ける:近い将来に使うお金と、長期間使わない投資資金を同じ口座感覚で扱わない。
  4. 分散状況を確認する:国、通貨、業種、個別銘柄への偏りが大きくなっていないかを点検する。
  5. 積立額を調整する:収入や支出が変わったら、無理に維持せず、減額や一時停止も選択肢にする。

長期・分散・積立は有力な考え方ですが、元本保証ではありません。暴落時には同じ金額で多くの口数を購入できる一方、資産価値がさらに下がる可能性もあります。だからこそ、相場予測よりも、下落を前提にした資金管理が重要です。積立設定を機械的に続けるだけでなく、年に一度は家計、保有資産、目的、運用期間を見直し、自分に合う状態へ調整してください。

おわりに

新NISAの利用は大きく広がりましたが、平均値や人気商品をそのまま自分の目標にする必要はありません。私は、資産形成では「どれだけ早く枠を埋めたか」よりも、詐欺を避け、コストを抑え、生活を守りながら継続できたかが重要だと考えています。

数字の定義を確認し、自分の家計に合う金額と商品を選び、相場が変動しても慌てない準備をしておきましょう。新NISAは強力な制度ですが、使い方を決める主役は制度ではなく、私たち自身です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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